気になった店頭CM

ちょっとしたスランプ

先輩からのアドバイスもあって、最近ではカメラの使い方や映像の撮り方にもだいぶ慣れてきました。
そろそろプチ映画でも作ってみようかな、と思い、まずはどんな作品にしたいのかをメモ書きしてみることに。

すると、意外や意外。
まったく筆が進まない状態で4時間も経過していたのです。
正直これほどにまで作品を具現化する能力がないのか、と愕然としました。

確かに僕が好きな映画作品は、同じ監督や同じシチュエーションというのが多いのも現実です。
だからといって、ここまで発想力が身についていないのも、すごく悲しい気持ちになりました。

ふと見入ってしまった店頭CM

そんな時、駅にある巨大広告でひとつの店頭CMを見ました。
ウイスキーについて紹介する内容だったのですが、映像の作り方についていろいろと衝撃を受けたのを覚えています。

最初はおいしそうに注がれるウイスキー、そのあとは森の中をバックにそれぞれのウイスキーについて紹介する、という内容。
一見シンプルでどこにでもあるような場面なのですが、思わず「あぁ今日はハイボールが飲みたい」という気持ちにさせるものがありました。

それが後半に描かれている「おいしいモルトハイボールのつくり方」です。
作っている場面はもちろん、食卓でおいしそうに飲んでいる様子を見ると、思わずのどがごくりと鳴ってしまいました。

でも一番の驚きが、こんな内容が詰まっているのにも関わらず、動画の再生時間はわずか1分半というところです。
動画作品を作るうえで、ただ中身を詰め込みすぎた長ったるいものにするのではなく、作成者の意図をうまく詰め込むことが一番なのだなと感じました。

こういった映像を作る仕事にも楽しそうだなぁ、興味が湧いた瞬間でしたし、今後自分がどんな作品を撮るべきなのか、という部分も思い知らされました。
今回のCM以外にも、化粧品や飲料の作品などにも、新たな描き方について学ばされる部分がありました。

映画だけではない「作品」の幅

作品の作り方について考えさせられた、という事以外にも、CMという作品の作り方についても改めて思う部分がありました。
映画だけではなく、作品の幅を広げなければよいものが作れないと。
逆に言えば、短い時間の映像であっても、意図がしっかり伝わればよい作品になる、という事でもあるな、と感じました。

もちろん映画作成に比べ、CM作成という事を見下していた訳ではありません。
素晴らしい作品を作る人も多いと思いますし、職人として本当に尊敬しています。
しかし、何も知らなかった僕にとっては、映画の作成よりも規模が小さく、やりがいが見出せない部分もありました。

でも今回見かけたCMをふと見て、その考え方も大きく変わりました。
1分の短い作品であっても3時間の超大作であっても、作る側の思いは一緒なんだと。
見てもらう相手に対して、伝えたいことは映像を通じてまとめていると、そう感じました。
すごい小さなきっかけですが、僕の映像作品に対する考えが変わった日のことです。