いきなり撮影の壁にぶち当たる
ようやくキャスティングが決まり、さぁ撮影を開始しようと意気込んだ矢先、ひとつの壁にぶち当たりました。
それは撮影を行うチームワークという部分です。
今回映像作成に協力をお願いした人々は、先輩や先輩の友人など、僕が全く知らない人ばかりです。
そのため、どんな映像を作りたいのかが明確に伝えられず、グダグダなスタートを切ってしまいました。
監督がそんなではいけない、それはよく分かっているのですが、まだ学生という立場上、後輩が先輩に対して指図するのは気が引けます。
先輩たちはそんな僕の気持ちを知る由もなく、指示待ちの状態でイライラしているようにも見えました。
気持ちだけが空回り
このまま悩んでいてもしょうがない、とりあえず先に進もう、そう思いながら映像の構成や人物配置などを少しずつ指示してみました。
しかし気持ちだけが空回りしてしまい、肝心なことがちゃんと伝えられないことが続いてしまいます。
一番最悪だったのは、メインであるキスシーンがどのポジションで撮るか、というのを伝えていなかったこと。
恋人同士でもない先輩方に何度もキスシーン(の真似)をさせてしまい、ものすごい険悪なムードを作ってしまいました。
ほんの小さな映像作成ですが、僕が初めて手がけた作品は、完全に失敗した形で作ってしまいました。
撮影が終わったあと、作品をじっくり見てみましたが、中身から伝えたいことが分からない、全くの中身のない映像に仕上がっていました。
それはまさしく、僕自身もっとも嫌う作品そのものでした。
言葉だけでは伝わらない
今回の映像作成で学んだことは、言葉だけでは物事が伝わらないという点です。
いくら自分自身の頭の中で計画を立てていても、演者にしっかり伝わらなければ、よい作品が作れません。
まだ学生という立場だから良いものの、お金を貰って働くプロの立場だったら大きな損害に繋がりかねません。
失敗した作品制作ですが、学べたものも多かったです。
もう一つ先輩から言われたのが、「年上・年下関係なく、お前がメガホンを持つんだからしっかりしろ」という事です。
確かに僕のわがままで、先輩が撮影に必要な人たちを集めてくれたのにも関わらず、肝心の監督がしっかりしなければ全くの無意味なのは分かっています。
その上で「最初はみんな失敗するんだから、気を取り直して前を向け」とも言ってくれました。
本当に感謝してもしきれない言葉です。
みんなに協力してもらった2作目
それから1ヵ月後、先輩のご好意で前回と同じキャスティングを組み、新たな映像作成を行いました。
あれからいろいろとアドバイスを受けながら、監督としてしっかりと指示が出せたので、それなりに満足できる作品が仕上がったのを覚えています。
たった一つの映像であっても、チームワークがしっかりしていなければ作品が成り立ちません。
そんな当たり前だけれど一番大切なことを教えてもらえた出来事でした。